キメ███.mp4
この画面、知る人ぞ知るプレイ画面ではあるんだけど。まあ僕は精神衛生上良くなくてプレイ出来てないんだけど。Needy Girl Over doseですね、お馴染み。僕がよく言うインターネットエンジェルはこのゲームから来ている。とは言え、僕はこのゲームに出会う前からこの路線(！？)を貫いているから、そこが恐ろしいところ。
正直僕、超てんちゃんのビジュアルが苦手で。目がこわい、目がちょっとこわいね。███の子ってホントにおっきい白目にぽつん！と黒目、っていうね、ああいう目してる子多いんだよね。じゃあなんで苦手なのに真似事みたいなツイートをしてるかというと、ゲームの作り込みと設定がめちゃくちゃに好きなのと、単純に超てんちゃんと育ちが似ている。まあ、育ちの記述に関しては、メンヘラ特有の虚言っていう考察もあるから、そこんとこはよく分かんないんだけど。後ここから先ゲームのネタバレが凄いから、これからプレイする予定のある健常者くんは注意だよ。
超てんちゃんの本名は、雨(レイン)めちゃくちゃキラキラネーム。こんな名前の時点で、色々と家庭環境が察せるところではあるけど、このレイン、と関わりがあるのが上の書籍の著者。R.D.レイン。イギリスの精神科医。この本自体、ゲームに深く関わっている、というより、もうこの本そのままゲームにしたような雰囲気。僕もこの本欲しいんだけど、あまりに希少で、プレミア価格。購入にはちと勇気がいる。
好き？好き？大好き？はゲーム中、あめちゃんとのJINE(LINE)で引用されてる。
この選択によってエンディングが別れることもある。ちなみにこのゲームにはエンディングが30種類ほどあって、一度や二度じゃ飽きない作り。
好き？ 好き？ 大好き？
彼女 好き？ 好き？ 大好き？
彼 うん 好き 好き 大好き
彼女 なによりもかによりも？
彼 うん なによりもかによりも
（中略）
彼女 誓ってくれる？ けっしてわたしを置きざりにしないって
彼 いつまでだってけっしてきみを置きざりにしないって誓うよ、胸のうえに十字を切るよ
そして嘘をつくくらいなら死ねたらと思うよ
（無言）
彼女 ほんとうに 好き？好き？大好き？
R.D.レイン『好き？好き？大好き？』（みすず書房）
とまあ、こんな詩がある。(無言)がいいよね。ほんとうに好き好き大好きな訳じゃないって悟っても尚、もう一度聞き返すの。切ないよね。まあ、このゲーム、プレイヤー側が「ピ」って呼ばれて、いわゆる恋人としてあめちゃんと接することになるんだけど、実はこの「ピ」あめちゃんの創り出した架空の恋人ってことが、最後のエンドで分かるようになってる。
大抵のプレイヤーは、このゲームを「メンヘラ配信者を育成するゲーム」だと思いがちなんだけど、最後の最後でそれが裏切られて、真っ暗になった画面に映る自分の姿に絶望する。ある人はあめちゃんのようなメンヘラを壊してやろうと思ってプレイする、ある人はそんなメンヘラを救ってあげたくてプレイする。前者は言うまでもなくだけど、後者も優しいように見えて、実は傲慢。R.D.レインの「好き？好き？大好き？」の中には、こんな詩もある。
彼 ぼくがきみをたすけようとしているのが きみにはわからないのかね？
彼女 いいえ あなたがわたしをたすけようとしているのは わたしにだってわかるわ
彼 それならきみはなぜ ぼくにきみをたすけさせてくれないのかね？
彼女 たすけてくださいっておねがいしたことなんか一度だってなかったわ
彼 きみが自分ひとりではこんななかから出られないのが きみにはわからないのかね？
彼女 それこそわたしが言いかけていることなの
彼 それならきみはなぜ ぼくにきみをたすけさせたがらないのかね？
彼女 あなたのたすけは溺れる者にとっての塩水のようなものよ
つまりR.D.レインは相手を「救済」しようとすることこそ、傲慢な欲求だとする考えを持っている。これがこのゲームの本質で、プレイヤーはあめちゃんに対して「この子には自分が必要なんだ、この子の命は自分が握っているんだ」という感覚にいつの間にか陥り、薬を飲ませ(ODさせ)、自分の思うように配信させて、リスカさせて、言うことを聞かせる。そうやって溜まっていった"病み"にのめり込んでいくあめちゃんに対して、助けてあげなきゃ！と傲慢にも手を差し伸べる。"自分が壊した"のにも関わらず。手を差し伸べた後も、病み度のメーターが下がればまた同じことを繰り返す。それこそR.D.レインの詩の中の「彼女」の、セリフにとてもマッチしている。あなたのたすけは溺れる者にとっての塩水のようなもの。
あるエンディング。という名の、ほぼ最後のエンディング。全てのエンディングを回収した後の、エンディング(紛らわしい)では、なんと「ピ」無しで、あめちゃんがひとりで配信し、今後もひとりで配信していくという姿を見せられる。そしてこの時にやっと内容を見れる「ひみつのこと.txt」というあめちゃんのメモのようなデータ(これは実際に調べて、実物を見て欲しい)では「ピ」は、あめちゃんの架空の人物であり、あめちゃんはこれまでもずっとひとりで配信を続け、オーバードーズしながらも闘ってきたことが明かされる。このとき解除される実績の名前は「I Need You」…これはあめちゃんがプレイヤーを必要としている意のものではなく、プレイヤーがあめちゃんに対して抱く感情。今まで自分のことを必要としていたはずなのに、という虚無感に襲われたプレイヤーの感情。そしてここで初めて、自分が傲慢だったことに気づく。あめちゃん、ごめんね。って、きもち。
このブログのタイトルはキメえっち.mp4にする予定だったんだけど、さすがにそのまま晒すのはどうかと思って横棒つけた。この「キメえっち」っていうのは、ゲーム内で出来るコマンド「えっちなこと」
1番上に載せたこの
↑コレ、が、えっちなことをすると起きる画面。これはぜひ動画で見て欲しい。効果音も素晴らしいので。
「ひみつのこと.txt」を見た後に思うと、じゃあこの「えっち」は自慰行為のことなんだ、と納得する。確かにゲーム内で、ピがまだ実在すると思われていた段階のえっちコマンドでは不可解な点があった。まずODした後や、違法な薬をキメた後にえっちコマンドを開くと、通常とは違い「キメえっち」と表示される。
ふたりでする時もまあ「えっちなこと」とは言うけど、ふたりでキメセクする時(法は守ってね！)は「キメえっち」とは言わなくないか？普通キメセク、って言うよね？ってところから、やはり「ピ」は存在しないことが分かる。
ゲーム内で見れるあめちゃんの表垢のツイートも、裏垢のツイートも、作者があめちゃんみたいな女の子たちをインタビューしまくって知り尽くしているお陰で、めちゃくちゃ生々しくリアルに出来上がっている。これもゲームの楽しみのひとつ。どう？やりたくなってきた？プレイしたら感想教えてね。ってもうほぼ全部ネタバレしてるけど、30種類くらい！のエンディングを堪能するのもいいんじゃない？
ちなみにゲーム内で出てくる超てんちゃんの表垢も
裏垢も。しっかり実在しているという徹底ぶり。芸が細かいね！まあ、気になったら見てみてね。読んでくれてあーんがと。
0コメント