勝てない制服感性くXXれ

 「派手なグッバイ、けちらしたいストーリー。」結局、大森靖子の曲を聴いて、境遇が同じで無いのに、歌詞の中に隠された鬱憤を必死に理解しようとして、MVを見つけて、その中のキラキラした平凡な女の子に憧れて、夜中にドキドキしながら公園に走ってみたり、iPhoneのあかりをのこしてワンルームファンタジーをするウサミミスマホケース。ストロー噛んでバスストップから睨んじゃったり、ZOCメンバーの過去を真似してみたり、メビウスオプションパープルをデコったり、ホントはやさしいママなのに可哀想になりたくてネグレクト偽って、軽い侮辱罪背負ってみたり。僕はそんな、感性と感覚を染みつけて、次々消化できるカワイイコになりたかった。だって、カワイイは、正義のはずだから。僕がうまれたのは、アイドルが完全無欠で、いつもにこにこしてて、トイレなんて行っちゃいけない時代だったから。

 古代魚が好きってダーリンから、人魚姫みたいって、可哀想で可愛いって。キュートアグレッションぶつけられて嬉しかった22:46分。あ、見てる?どきってした?熱帯魚ってズルいって話を聞いてくれた。だって漢字も語感もカッコよくて、おまけに泳いでるだけでちやほやされて、見た目も可愛くて。でも僕、エンジェルだったんだよね。ハニーじゃなくて。おっとっと。つまり、健常なカワイイコたちが羨ましかった。だって、ヒトに染められて、憑依して、演じられるのはいつだってそういう子達で、ネタにされるのは僕みたいな奴で。でも教祖になるのはギターを弾ける人間だよ、いつだって。僕はリコーダーすら上手く吹けないし、醜形恐怖症でもないから、あのコミュニティには入れない。
「リリィ・シュシュのすべて」を観て
 「告白」を観て「渇き」を観て、中島哲也の感性と世界にずかずかぺたんこローファーで踏み込んだ後、帰り道に本屋で原作を探して、ちっとも読み切れる気がしないくせに2冊買ってお小遣いを使い果たして。朝の読書でブックカバーを付けずに「果てしなき渇き」のピンクを晒して「告白」の青をばら撒いて。僕はいつだってそういう子達に勝てなかったし、そうなりたかったのに。そう出来なかった理由は、僕が健常じゃないから。読書は心を乱して、映画は脳を縮ませるの。いつだって楽しいのは健常で、健常が憧れるのは異常。こんな世界のからくりが堪らなくすきで堪らなくくたばれ。って、白い内履きのかかとを潰した全校集会。爆発すればよかったあの朝、号泣して、僕は辞めたの。喜んで青春の椅子をひとつ空けてやった。だって、僕は絵に描いたような青春を送れるだけの正常な脳みそと、平凡なルックスは持ち合わせてなかった。わるいけど、僕はあの子たちより全てが飛び抜けてて、出る釘はもちろん打たれて。だから図書委員の集まりのお知らせも、僕にだけ来なかったんだ。移動教室をひとり間違える切なさを、あの平凡なきらきらたちは果たして知ってるのかな?あーあ、今はあそこに誰が座ってるのかな。僕よりその子、可愛いかな。
 窮屈なひとの集まりだと思ってた写真部に僕の特等席がないと気づいた日の、お高い琥珀糖。写真展に出せずに終わった黒猫。原因は、ふたつ上の先輩が壊した僕のSDカード(両目)だった。どうしても直したくて談判した顧問は、何をそんなに必死になって復旧したいんだって目と、口調で、アイデンティティをいとも簡単に踏みつけてきた。間接的に、僕の切り取る世界に価値はないって言われたみたいで、純度100%つらかった。人生最初で最後に出した写真展、来場者が残したコメント。他の部員はびっしり文字の敷き詰められた紙の2、3枚配られてたのに、僕にはたったの一枚、ひとこと。「タイトルのインパクトがすばらしいですね」その時の写真は、載せたくないの。タイトルは「不味。」まず、い。ぶどうだった。(ほんとうは甘かったけど)もし見たければ、こっそり耳打ちしてくれればいいよ。見せてあげる。

 だから僕は、椎名林檎を聴いて、東京事変のMVを見て、着物でベースを握ってみたい衝動に駆られたり。ちゅうして多様性を歌う歌詞から病みカワを汲み取って、全世界の前でダンスしちゃったり。Dittoを聴いて、見て、もう既に青くて若い青春を茶色くしたくなったり。古いビデオカメラを引き出して、もう動かないことに絶望したり。電車、バス、公園、コンビニですれ違う制服姿に、数センチ背伸びした、似合わない香水の匂いに、あの時僕が送れなかった青春を見出してつらくなるの。今日も、悪意無しの威力高めな、青春のすれ違い通信に怯えて外に出られなかった、なあ、ブログ、です。結論。

0コメント

  • 1000 / 1000